先見の明(せんけんのめい)がある人なんているのだろうか?

事が起こる前にそれを見抜くなんて所詮無理でしょう。
では、自分が行動する基準をどこに置いたら良いのだろうか、というお話。

「ちょっと、最近、天気予報ぜんぜん当たらないじゃない、なんとかしてよ」と嫁。

「雨が降ると言われて傘を持って出かけたけど降らなかった」とか、「晴れると言ってたけど、外出先で急に雲行きが怪しくなって突然の豪雨に見舞われた」などなど、愚痴をいっぱい聞かされました。

そう言われても、ボクが予報を出しているわけじゃないし。

ところで、一口に天気予報と言っても、その時間や範囲によって手法が異なります。

まず、短時間・局所。
この場合、「外挿法(がいそうほう)」が使われます。
「外挿法」とは、簡単に言うと、今こう動いているからその流れで行くと、この後はこう進んでいくだろうと予想すること。
ボールを投げる時を思い浮かべてみてください。
自分の手を離れてから放物線を描いて飛んでいき、地面に落ちるまでの様子です。
どんな感じでどこまで飛んで行くのか、だいたい予想できますよね。

次に、長時間・広範囲。
短時間・局所に比べると少し複雑になります。
単純に、今こうだからこの後もこうなるだろうだけでは精度が悪くなるからです。
ものごとを変化させる様々な要素が増えますから。
だから、気象庁のコンピュータは、その目的に応じてさまざまな数値予報モデルを運用しています。
一定距離の格子で大気を覆い、計算された値を近くの値と比べて妥当なものか確認して修正する、そんな感じです。
ちなみに、「モデル」とはコンピュータに処理をさせるプログラムを組む時に、どのように処理をさせるのかという方針のようなものです。
こうして得られた数値予報の結果を基に天気を予想するのですが、その際、以前、グーグルに学ぶディープラーニング 日経ビッグデータ(編)のレビューを書きましたが、そこに出てくる「ニューラルネットワーク」なども使われています。

このように、コンピュータを駆使しても、予報を的中させることはなかなか難しいことなのです。

ここまで天気予報について書いてきましたが、ボクたちが生活する中で何かを決めようとする時、天気を予測するように未来を予測して意思決定を行うことも多々あるのではないでしょうか。

それで、どうです?
思った通りになってます?

未来が遠くなればなるほど、思った通りにはならないんじゃないでしょうか。
「いや、私はなっている」というあなた、たぶんそれは偶然でしょう。
世の中はカオスです。
バタフライ効果で言われる「1匹の蝶が中国で羽ばたけば、カリブでハリケーンを起こす」世界です。
人間の脳はコンピュータよりはるかに複雑な働きをしていると思いますが、ボクは、世界中に散らばっている蝶達がはばたこうとしているかどうか、すべて知るなんて到底無理だと思っています。
自分と違う意思をもった生き物の動きなど知る由もありません。
あの人が、突然スイッチを押すかもしれないじゃないですか。
そこがわからないのに、未来の予測など不可能でしょう。

もし、未来を予測することが可能であれば、多分、ボクもあなたも億万長者ですよ。
いつ一文無しになっても何も怖くありません。
だから人は未来を知ろうと一生懸命になるのでしょうね。

こういったことに関しては、ビジネス書の類が参考になります。

先見の明の大切さについて『ナニワ金融道』という漫画を描いた、青木雄二さんは、『ゼニと成功法則』の中でこう言っています。

ビジネスなんていうのは、ライバル企業との生きるか死ぬかの戦争や。先見の明というのは、生死をわけることになるんや。個人が事業を始めるときなんかにも、先見の明いうのは重要や。それ一つで財閥ができてしまうくらいや。

また、パナソニックの創業者、松下幸之助氏も、著書『指導者の条件』でこう述べています。

過去の歴史を見ても、一国が栄えている時は、必ずといっていいほど、それに先んじてその国の指導者の先見性が発揮されているように思われる。また、今日発展している企業を見ると、やはり経営者が先見性を持って的確に手を打っているようである。時代はますますはげしくゆれ動き、千変万化してくるだろう。それだけに指導者は心して先見性を養わなければならないと思う。

大切なことはわかりますが、未来を予測して自分の将来を測るなんてことは所詮無理。
「あの人は先見の明があったから成功したんだ」という話は後から語られるもので、そういうことにしてるのだと思います。
ならば、これから何かやろうとしている人はどうしたら良いんだろう。

リーダーシップ・マーケティング・戦略立案の権威である、ウィリアム・A・コーン氏は、『ドラッカー先生の授業 私を育てた知識創造の実験室』の中で、こう述べています。

ドラッカー先生が折に触れて語っていたように、将来は予測できないが、切り開くことはできる。将来がどうなるか思い悩むのはやめよう。今後のなりゆきなど、だれにもわからない。「自分にはどうしてできないのか」などという発想はけっしてすべきではない。それよりも、目標を定め、達成には何が必要かを考え、状況分析をするのだ。それができたら次は行動を起こす番である。自分の手で将来を切り開いた人々は大勢いるのだから、きっとあなたにもできるはずだ。

この本では、まず目標を立て、目標達成までのシナリオを検討し、「問題点、チャンス、リスク」を予想していくつかのシナリオを描くよう書かれています。
プランAとかプランBを作って、環境変化に対応するといったように。

こうなりそうだからああしよう」ではなく、「こうしたいからああしよう」でしょうね。

結局、行き着くところはそこなんだろうな。
行動を決める時は「自分がどうしたいのか」を基準に置いて考え、さまざまな外部環境の変化に対応できるよう準備しておく。
「予測」を中心に行動を決めるとそれに振り回されることになります。
「予測」はリスクヘッジのための材料程度に見ておくのが妥当。

だからボクは、日常的に「自分を振り返る」ことがとても大切だと思うんです。

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