【レビュー】寿司修行3カ月でミシュランに載った理由 宇都 裕昭 (著)

出版社: ポプラ社 (2016/12/13)

ミシュランガイドに掲載された大阪の寿司店「鮨 千陽(ちはる)」の店長は寿司学校の出身で、しかも、その寿司学校には3ヶ月通っただけ。さらに下積み経験は一切なくて、開店から11ヶ月目で掲載された。

この報道はまだ記憶に新しいのではないでしょうか。
従来の修行を否定するかのような取り組みは、業界へのいわばアンチテーゼだったのでしょう。
多くの議論を呼びました。

本書は、お店をミシュラン掲載に導いた立役者である、飲食人大学(いんしょくじんだいがく)・学校長の宇都裕昭(うとひろあき)さんが、掲載を目指した意図と、ご自身が普段、飲食業界に関わる者としてどのような考えを持ち、どんな取り組みをしているかについて書かれたものです。

本の発売当初、帯にかかれている文句、「堀江貴文氏絶賛!!」とか「この本は、”素人革命”を起こすための教科書だ!」を見た時は、なんとなく無味乾燥なノウハウ本かな、という印象を受けました。
堀江さんは、あくまでドライな論理的思考の持ち主だとボクの中ではイメージしていましたから、その人が絶賛するということは、そういうことなんだろうと感じたのです。
そんなこともあり、200ページ弱のこの本を手にした時は、ノウハウだけ参考にさせてもらおうと、さらっと読み終えるつもりでいました。

では、実際はどうだったのか。

いい意味で、期待を裏切ってくれました。

著者である宇都さんは、根っこにおくテーマとして『飲食人(業界従事者)の可能性をつくり出すこと」を掲げていて、本書の中では、

彼らが、我々に出会ったことでキャリア形成が好転する。人生の選択肢が増え、「自分の人生を生きる」ことができる。それができれば本当の意味で「飲食人の可能性をつくる」ことの「実証」ができると思うのです

と述べています。

この中の、「自分の人生を生きる」ということについて、ボクが今もっとも大切に思っていることと同じ思いだったのです。

自分は本当に心からそうしたいと思ってしているのだろうか。
いろんなことに心をとらわれて、本来の自分でない自分を演じていないだろうか。
もしそうなら、それは誰のためにそうしているのだろうか。
自分自身と素直に向き合った時に感じるものを大切にする生き方。
ボクは、それこそ、究極に目指すべきものなんだろうと考えています。

著者と読者の目指す方向が一致している。
このことは、本を読む姿勢を変えてくれます。
ボクは、一字一句、隅から隅まで読んでみようという気になりました。

冒頭で書いた寿司学校は、宇都さんが学校長を務める飲食人大学です。
そもそも宇都さんがこの学校や、「鮨 千陽」を作った背景には、飲食業界の根深い構造的な問題がありました。
それは、経営コンサルタント出身の宇都さんらしい考察にもとづくものです。
飲食業界で当たり前とされていたことに対して、宇都さんが感じていたムダや違和感や疑問をどうすれば解消できるのかというところからスタートしています。
具体的には、高い廃業率や人材不足、低い給与水準と従事する人達の将来不安など。
問題は山積みです。

宇都さんは、こうしたことから、この業界は危機的な状況にあると言っています。
これらの問題を生み出している業界構造を、表面的にテクニックで立て直そうとするものではなく、根底から立て直そうとするものが宇都さんの取り組みです。
それは、今までの飲食ビジネスのスタイルとはまったく違うモデルをつくろういうものです。

それにしても、新しい取り組みは相当の胆力を必要とします。
結果が日の目を見るまでに、反対や迷いなどに負けてしまうことが多いものですが、それらを乗り越えていく宇都さんのリーダーシップには頭が下がる思いです。


読後の本のゆくえ

本棚に。

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